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2025年7月16日 (水)

「成瀬は世界を取りにいく」読了

積んであった本の中で「今ちょうど読みたい」というのがマッチせず、ちょっと本屋に行って目に留まった本を買ってみました。
新潮文庫「成瀬は世界を取りにいく」(宮島未奈著)です。
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昨年の本屋大賞を受賞した作品だったので、タイトルだけはずいぶん目にしていました。
先月末に文庫化されたそうで、その際に短編「大津ときめき紀行 ぜぜさんぽ」が追加収録されています。
あと、文庫版の初回限定ということで、琵琶湖ブルーのスピン(栞紐)とか微妙な特典付きでした。
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滋賀県大津市を舞台に、大言壮語を実践していく天才肌の成瀬あかりと、それに巻き込まれる島崎みゆきの日常(?)からストーリーが始まります。短編構成で読みやすく、勢いに呑まれてどんどん読んでしまいます。
お話の中心は大津市に住む別の人々に移っていきますが、巡り巡って成瀬と島崎に繋がってくる展開が秀逸です。

地方を舞台に破天荒な主人公が活躍するお話というと、「四畳半神話体系」が思い浮かびました。
あんなにムチャクチャじゃないし、登場人物たちにはしっかり常識もありますが、なんか同じ匂いを感じるというか。
と、巻末の解説は森見登美彦さん。やっぱりねぇ...

面白いだけかと思うと、周囲の目を気にせず自由に生きる成瀬と、その生き方に感化される周囲の人々、付き合いで一緒に行動していたはずがいつの間にか成瀬以上に楽しむ島崎の心境など、人間観察として見ても興味深いです。

「大津ときめき紀行 ぜぜさんぽ」は、著者さん自らが登場人物の成瀬と膳所(ぜぜ)を散歩するという設定。
その中に実在した西武大津店の写真が掲載されているのですが、この外階段が格好良い。
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名のある建築家さんの設計かとネットを検索すると、菊竹清訓という方の作品とか。リンク先には店内の「ピラミッド型のバードパラダイス」などの様子が分かる写真もあり、この建築は後世に残すべきものだったのでは?と思ったりもします。
いろいろな発見のある、読んで楽しい作品です。

既に続編「成瀬は信じた道をいく」が出版されていますが、まだ文庫化はされていません。
通勤で持って歩いて読む前提なので、文庫化を待ちたいのですが、待ちきれない気持ちもあったりします。いや、書き下ろし短編の追加収録とかあるなら、待ちますけどね。

(byぶらっと)

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