「アニメ大国 建国記」読了
「テレビアニメを築いた先駆者たち アニメ大国 建国記 1963>1973」(中川右介 著/集英社文庫)を読了しました。
世界に発信する日本アニメの黎明期10年を表から裏から解説している書籍です。
テレビアニメ前史から、決定的なアニメブームを起こした「宇宙戦艦ヤマト」くらいまでの時代が、500ページを超えるボリュームで語られています。
漫画原作ありきからアニメオリジナルをコミカライズするメディアミックスへの変遷、出版社とスポンサーを繋ぐ広告代理店の存在、スポンサーの意向に振り回される現場など、現在のアニメのしがらみが黎明期から続いていることに気づかされます。
反面、常識のように言われる「今のアニメーターの低賃金は虫プロが低価格でアニメを作ったから」という話が、ほぼウソであると言う衝撃の事実も。手塚治虫氏の原稿料で補填していたのは事実のようですが、必要な制作費はしっかり取った上で“手塚先生”の拘りのために費用が嵩んだ分の補填だったとか。そして、虫プロ社員は他社に比べても高給取りで、虫プロから独立して自分で制作会社を起こした人も多かったそうです。
今につながる制作会社の起業と合併などの流れも興味深く読めました。
今のようなネット情報がない中学時代にも聞こえてきたN崎Y展プロデューサーの黒い噂が、割と真実だったことは笑えました。ろくな情報源がなくても広まる悪評って...(^^;)
悪い話は置いておいて、いかに工夫して今のアニメに繋がっているかの歴史を体系立ててまとめたものが読めたのは良かったです。中国アニメなどの台頭に日本アニメが追い越されるかとハラハラすることもありますが、これだけの歴史に裏付けられた文化は、そんなに簡単に追いつけるものじゃないと安心しました。
(byぶらっと)
https://amzn.to/48uCIIQ https://amzn.to/3OWYuhh
※右側の文庫じゃない方が、レビューがたくさんあります。
| 固定リンク
コメント