鏑木清方展
国立近代美術館で開催中の『鏑木清方展』に行ってきました。没後50年という節目の回顧展のため、出品数は109点(展示が変えのため、実際は80~90点)もの展示になるそうです。
チラシの表・裏。
鏑木清方は明治から昭和に掛けて東京で活躍した美人画の大家です。同時代の京都では上村松園が活躍していました。「西の松園 東の清方」と呼ばれるくらい、美人画では抜きん出ています。
それでも少し前まで私の中では「松園が1番!」だったのですが、昨年の『あやしい絵展』や『コレクター福富太郎の眼展』で多くの清方作品を見て、すっかり清方ファンになりました。(^^;
屏風“道成寺(山づくし)・鷺娘”。英題の方が意味が分かるって...。
英題“From the Kabuki Dances Musume Dojoji and Sagi Musume”
こうして作品を見ていくと、松園とはまったく違う美人画だなぁと感じました。松園は描いた女性のあり方を追求していると感じるけど、清方は場面の中での女性を描いている感じ。う~ん「何言ってるんだよ?」って思われそう。(笑)
小説の挿絵や舞台(歌舞伎の演目)場面を描いた作品が多いので、そう思うのかもしれません。
屏風“黒髪”。左隻の碧い竹林に黒揚羽が効いてて素敵だった。
そして、思ったより日常生活の場面を描いた作品も多いです。こうして見ると美人画というより美人の登場する風俗画とも言えそう。
中には“小説家と挿絵画家”というタイトルで、自分と泉鏡花を描いたりもしています。「こうして登場人物や場面の話し合いをしたのかな~」と想像しました。決して「鏡花の前の小鉢は食べて貰えたんだろうか?」なんて思ってませんよ。(笑)
鏡花は潔癖症でなんでも火で炙ったという逸話が。
小鉢の中は湯豆腐。それはセーフなんだね。(笑)
大満足の展覧会でしたが、見たいと思っていた“一葉女史の墓”が4/3までの展示で見逃したのは悔やまれます。orz
絵の説明欄に清方の自己評価が☆で表示されています。
☆(まあまあ)、☆☆(やや会心の出来)、☆☆☆(会心の出来)だそうです。なるほどと思うのもあるし、そうかな?って感じるのもあります。☆がない絵の方がずっと記憶に残ったり。それは作者自身の評価ですからね。(^^;
12年前に買った上村松園展の図録と今回の図録。
12年前に国立近代美術館で『上村松園展』を見ました。美人画は松園でお腹一杯!と思っていた頃ですが、今は随分知ってる画家も増えました。それでも、やっぱりこのお二人は一歩も二歩も前に立っているように感じました。
(byふらっと)
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