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2022年2月 9日 (水)

檸檬先生

昨年末、たまたま本屋で見かけて衝動買いした「檸檬先生」(珠川こおり著)を読了しました。
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帯に書かれた「いま話題の『共感覚』を持つ少年、少女の青春物語」「『衝撃的』・『圧倒された』とSNSで大反響!」という謡い文句に興味を惹かれました。それと、「ブルーピリオド」の作家さんによるきれいな表紙絵も良かったので。しおりの片面は檸檬先生、裏面はブルーピリオドです。
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音や数字や人の顔などが色に見える「共感覚」という特性を持った主人公が、その特性のために人間関係に苦労しつつ、同じ特性をもった上級生に出会うことで、身の回りの世界が変わっていくお話です。様々な色を帯びたストーリーは、とても綺麗で透明感もあって、ギスギスした社会が少しずつ優しい色に満たされていく課程は清涼感さえあります。
が、最初の1ページに衝撃のラストシーンが描かれているので、それらのほっこりするお話も「あそこ」に帰結するのかぁと覚悟をしつつ読むことになります。衝撃的な終わり方ですが、一番納得できる終わり方でもあります。読む人の心構えができるように、あえてラストシーンから書き出したのかもしれません。

著者は18歳の男性で、史上最年少での第15回小説現代長編新人賞受賞とのこと。どんな人生経験をすればその若さでこのセンシティブなお話をこれほど綺麗に書けるのか、素晴らしい実力だと思います。

作中ではルロイ・アンダーソンの「シンコペーテッド・クロック」という曲が登場します。
題名だけ聞いてもピンとこなかったのですが、作曲家でググると代表作に「そり滑り」「タイプライター」「トランペット吹きの休日」など題名を聞けばメロディーが浮かぶ曲が多数。「タイプライター」と同じ作曲者ということは、あの時計が「カチ、コチ」と時を刻む音が印象的なあの曲かと連想されます。YouTubeでいろいろ聞いていたら、CDがほしくなっちゃいました。

このお話を読んでいるあいだ、小学校に入ったばかりの頃に読んだ「大きい1年生と小さな2年生」という本を思い出しました。いや、話は全然違うんですけどね、上級生と下級生の位置づけが似ている気がして。絵本を卒業して児童文学を読んだ、読書の原体験を思い出して懐かしくなりました。この本、今でも読み継がれているようです。
「檸檬先生」もそうやって読み継がれると良いな。

(byぶらっと)

 

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