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2021年11月 2日 (火)

林忠正 読了

林忠正を知ったのは、2年ほど前の『林忠正展』でした。もう顔と経歴くらいしか覚えてないけど、その生涯に興味が湧いたのは確かです。
彼の評判は悪く日本の宝をタダ同然で仕入れ高値で売り、私腹を肥やした『国賊』とまで言われていたとか。今ではそれは誤解と判明しているとか。そんな感じだったと思います。
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上手い具合に図書館で見つけたので読むことに。評伝って初めて読みます。内容は手紙のやり取りや商記録・日記(本人・友人含む)などで、著者の個人的な見解が少なく客観性に優れています。変に同情的ならず、淡々と事実を知ることが出来ました。まぁ、その分小説的な面白さはないですが。(笑)
読んだ内容の整理にと、巻末の年表を残しました。
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本では概ね時系列に書かれていますが、林の友人やフランスでの出来事などで章立てされているので、数年単位で行きつ戻りつしています。なかなか登場人物を覚えきれないので、若干混乱しました。

本書の中で驚いたのは、日本美術が大好きなのはフランスが一番と思っていましたが、当時ドイツ、イギリス、アメリカよりフランスは無関心だったとの記述がありました。
1873年に来日したウィリアム・アンダーソンが日本美術を研究し、コレクションを持ち帰り大英博物館に売却しているのを知ると、なるほどと思えたりもします。(^^; フェノロサより全然早いし・・・。

後発そうなフランスでも、日本美術に関する書籍は多く出版されていました。日本ではそんなもの一冊もないのに。そもそも美術・芸術という言葉すら出来たてホヤホヤで理解できてなかった時代というのが、なんとも言えない。(^^;
そのほとんどに林が調査や翻訳で協力していることはあまり知られていないと思います。

日本人も日本人画家も狭い島国視点や思想が捨てられない時に、世界を渡り歩いてルールや価値を世界規模で見ていた人だと思いました。そう言う人は周りから浮くし煙たがられてしまうのは、現代でもあると思います。
一人の人の人生なので、良かった・悪かったという見方はしませんが、52歳という早すぎる生涯は残念でなりません。また、私設美術館建設のために手元に残した日本の美術工芸品や印象派の絵画が、アメリカで散逸してしまったのが本当に...本当に残念です。orz 国宝級だよ...どれも。

林忠正の人生を通して、当時の日本やフランスが垣間見える本でした。

長くなったので、ちょっとだけ続きに追加しておきます。興味のある方は是非。

(byふらっと)

一般的に言われる『浮世絵をフランスに紹介した・浮世絵を売って儲けた男』ですが、これは誤解と言っていいと思います。
林が10歳位には、浮世絵は印象派に影響を与えているし、モネが『印象・日の出』を発表した第一回印象派展の時、彼は学生でした。
その当時の浮世絵とは、幕末期のものでいわゆる清長・春信・歌麿など浮世絵絶頂期のものではなかったそうです。

最初に浮世絵を買い込んだのは外国人だし、その浮世絵は日本人にとっては価値のないものだったから今の状態は当然です。日本に残らなかったのは残念だけど、持ち出してもらえなかったら捨てられてたことでしょう。

浮世絵ばかりが注目されますが、彼自身は浮世絵は日本美術の一ジャンルだとして、それ以外(漆器・彫金・陶器)を見てもらおう(売ろう)としていたようです。

『日本に最初に印象派を紹介した』は事実でした。本人もコローやシスレーなど、いつか日本に美術館を建てて展示したいと蒐集していました。また、浮世絵が買えない画家に、作品と交換で浮世絵を渡していたとか。印象派の画家を応援している一人でした。

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