コレクター福富太郎の眼-昭和のキャバレー王が愛した絵画-
明日まで東京ステーションギャラリーで開催されている『コレクター福富太郎の眼-昭和のキャバレー王が愛した絵画-展』に行ってきました。自衛隊の大規模接種までの時間つぶしです。本当は時間指定の予約制ですが、空いていれば当日券でも入れます。
チラシ2種。左:鏑木清方<薄雪> 右:北野恒富<道行>
<薄雪>を見て「清方、恐るべし!」と思いました。(^^;
ずっと迷ってました。自粛中でも行くべきか、その価値はあるか。しかし、やっぱり行って正解でした。『あやしい絵展』同様、あまり知らなかった明治・大正・昭和の日本画家とその系譜が少~し分かったし、多くの魅力的な作品に出会えました。
図録 左上:池田輝方<お夏狂乱> 右上:上村松園<よそほい>
左下:松本華羊<殉教> 右下:島成園<春の愁い>
特に福富太郎が愛して止まない鏑木清方の作品は、必見です。美人画において“西の松園・東の清方”と言われますが、わたし的には絶対松園と思ってましたが、今回のコレクションを見て「甲乙付け難し!」などと思った次第です。f(^^;
他に“三都三園”と称される女流画家、上村松園(京都)・池田蕉園(東京)・島成園(大阪)という存在も知りました。島成園は『あやしい絵展』で知り、池田蕉園は今回初めて知りました。
島成園<春宵>
また、水野年方門下(鏑木清方も同門)の池田輝方(池田蕉園の夫)の作品も気に入りました。
系譜を調べると、歌川国芳←月岡芳年←水野年方←池田輝方・鏑木清方の流れのようです。(矢印は入門の方向)月岡芳年の兄弟弟子に河鍋暁斎もいます。
江戸の浮世絵からの流れが見えてきます。(^-^)
寺島紫明<鷺娘> 実物はもっと白・黒・グレーのコントラストが美しい
気に入った人を挙げたら切りが無いですが、松本華羊<殉教>や寺島紫明<鷺娘>が印象的でした。そして『あやしい絵展』で見損ねた北野恒富<道行>が見られたので満足です。
昭和に入ってからの油絵はまだ「茶色いなぁ」という感想から脱出できませんが、大戦中の何とも言えない息苦しさも感じました。
伊東深水<戸外は春雨> 日劇ミュージックホールの楽屋
今回の展覧会で特に面白いのは、コレクター福富太郎という人かも知れません。蒐集作品から故人の趣味や信念みたいなモノが感じられます。戦後の昭和という時代で、泥臭く雑多な中でじっと見つめたまなざしのような作品群は、とても興味深く面白かったです。この人の生涯みたいなものにも興味が出ますね。
キャバレー・ハリウッドの店内 昭和感が満載です!
とりあえず「日本画は苦手なんだよな」ってスルーしなくて良かったです。
(byふらっと)
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