不治の病で余命宣告されながらも、やりたい夢をやりきるまで死ねないと生きることを精一杯楽しむ主人公のお話。少しずつ友人達の理解を得て、周囲の人達を巻き込みながら夢を実現していく姿が描かれています。
新型コロナで非常事態宣言が出たタイミングで1巻が発売された本作。
新人作家さんの新作が、書店の新刊平積みコーナーに置かれる1カ月を棒に振った結果、販売部数が伸びずに編集部から打ちきりを決められたとか。状況が特殊なため2巻の初動まで打ちきり判断を猶予してもらったということで、作者さんがtwitterで試し読み付きで拡散。そのツイートが回ってきて作品を知りました。
twitterから人気が出て打ち切りを回避できたと思った矢先、作家さんの訃報がツイートされました。
23歳での夭逝だったそうで、若い方の訃報というのはいつ聞いてもとても悲しいです。
講談社さんが、2巻以降の1話とネーム状態の1話、作家さん自身が構想段階で作ったアナザーストーリーなどを纏めた第3巻を制作し、販売できる内容ではないと読者に無料配布してくださいました。
主人公にも作家さんにも、まだまだ実現したかった夢がたくさんあったと思うと残念でなりません。
訃報からの流れで、同じ作家さんが別名義で描いた作品を知りました。「ボーイ・ミーツ・マリア」(PEYO)です。
BLということでしたが、ネット上で「BLとは思えない」と評価が高かったので購入してみました。
私はBLを「読んだことがないとは言わない」程度しか知りませんし、どちらかというと古の「やおい」と言われていた頃のイメージが強かったりします。
しかし、この作品を読んで「今時のBLは、LGBTQという難しいテーマをこんなに丁寧にさわやかに描くのか」と驚愕しました。
「Q(クエスチョニング)」で悩む少年に対し、他人を表面だけしか見られない主人公の少年が始めは女性と信じて惚れ、その後「男だからと嫌いになったりしない」と内面を見るようになっていくストーリーです。ごく自然に人間同士として惹かれていく姿や、LGBTQへの抵抗感がありながらも徐々に受け入れていこうという周囲の反応など、今の時代に広く読まれてほしい作品です。
「ボーイ・ミーツ・マリア」はamazonでも販売されていますが、「キミオアライブ」の方は紙の本はプレ値になってるようです。電子書籍の2巻には非売品の3巻の内容も収録されているので、そちらもお薦めです。
(byぶらっと)
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