「レオーネが荒野を駆けるとき」読了
スバル仲間のblog記事をきっかけに知った書籍です。
この作品が書かれたのは1984年というので、ちょうど3代目「オール・ニュー・レオーネ」が出るころのお話。それまではレオーネの独擅場だった乗用4WDが、他社からも出始める頃のことです。
そんな中、富士重工のテストドライバーがカリフォルニア半島で行われるバハ1000ラリーに、特別に改造した「スーパー・レオーネ」でチャレンジします。
物語には、ほぼ実在の人物も登場します。
「髭の親分」こと古関只幸というのは、小関典幸親分のことですね。ラリーにも出場する宣伝部の高田義郎というのは、高岡祥郎さんのことでしょう。自動車雑誌にサンバーの試乗記を書いた三木本知彦というのは、三本和彦さんかな? 辛口評論家でしたが、この物語ではちょっと悪役扱いですよ。(^^;)
足回り担当の阪崎敬介という人が登場しますが、以前参加させていただいた富士重工の勉強会で講師を務めたこの方がモデルじゃないかと思います。(メディアにバンバン出る方じゃないので、実名は伏せておきます。)
そう考えると、登場人物はいわゆる「有名人」ばかりでなさそう。
他のお名前も、当時の富士重工の中の人には馴染みのある名前のもじりの可能性は高いです。
さて、「スーパー・レオーネ」ですが、次期レオーネ用に開発した2Lエンジンの6気筒版3Lエンジンを搭載という設定です。...って、レオーネは1.8Lまでだったよねぇ? 輸出用でも2Lとかなかったと思うので、この辺は壮大なフィクションっぽい。
「エンジンを一から設計し直し」って言うので、EAエンジンからEJエンジンを開発した初代レガシィ? だったら2Lだしとも思いましたが、時代が5年ほど早過ぎ。それどころかレオーネから派生したアルシオーネが出るのが1985年、その6気筒2.7Lが出たのは1987年。なので、水平対向6気筒というのは、かなり先取りしてますね。
MTのギア比の話も出てきますが、日本国内用の燃費を重視した巡航用トップギアでなく、トップからでも加速できる最高速度を出すためのギア比になっているとか。その辺、レオーネのデュアルレンジと絡めてくれると、もっとマニア心をくすぐられたんですけどね。
そんなこんな、フィクションだと分かっていても実車を想定しちゃうのは、それだけ車の描写がしっかりしているからこそでしょう。著者の高齋正さんというのは、自動車を中心に据えたお話を多くかいているそうで、「さもありなん」という感じです。
まぁ、他の話も読みたいかと言われると、だってスバルしか興味ないし...\(^o^)/
出版社で絶版なのか、amazonさんのマーケットプレースで中古本しかありませんでしたが、読んでよかった作品です。
(byぶらっと)
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コメント
大昔に読みました。
本は引越しのドサクサか何かで、行方不明ですwww
確か、リアエンジンにして、前を軽くして弾むようにしてあったと記憶しています。
すげいエンジンだなーと思って読んでいましたが、彩雲號は3L ボクサー6なので、SFが真実になってるとちょっと嬉しくなりました。
投稿: あるぢゃ | 2019年6月21日 (金) 16時09分
名前だけは知っていましたが
なかなか手に取ることがなく
そう言えば 大藪春彦さんの「戦士の挽歌」が 初めてスバルに出会った小説でした
レオーネのエステートバンでした
投稿: ねこ | 2019年6月22日 (土) 17時43分
懐かしいですねぇ。小説そのものも、親分も高岡さんも阪崎さんも(笑)
本棚に置いてあるので読み返してみようかな。
高斎正さんの本は短編小説も面白いですよ。
投稿: JET | 2019年6月23日 (日) 07時40分
>あるぢゃさん
大昔に既読とは流石です!
私はまったく気づいていませんでしたよ。(^^;)
2気筒増やして6気筒という発想はそれほど難しいものじゃなかったかもしれませんが、後に実現されるというのはスゴイですよね。
今や貴重な6気筒、労わってあげてください。
>ねこさん
スカッとする空想物語としては、軽く読めてお薦めですよ。
実在の人物を思い起こせるのが楽しかったです。
マニアックなスバル車は、思わぬところで物語に登場しますよね。作者さんのマニアックさが垣間見えるのも楽しみの一つです。
>JETさん
おかげさまで楽しい読書ができました。
実在の人物が設定されていない主人公は、年代が違うのは承知しながらも、テストドライバー繋がりのJETさんで脳内再生されていました。m(_ _)m
短編も機会があれば読んでみますね。
投稿: ぶらっと | 2019年6月23日 (日) 09時39分