「台湾紀行」読了
司馬遼太郎著「街道をゆく」シリーズの「台湾紀行」を読みました。
以前から気になっていたのですが、たまたまこんな記事を見かけたもので。
「街道をゆく」というシリーズ自体まったく読んだことはなかったし、氏の著作も「龍馬がゆく」「坂の上の雲」くらいしか読んだことがありません。
独自創作の歴史小説が史実のように一人歩きすると評判の作家さんですが、それだけ真に迫ったストーリーということだと思います。読むとのめり込みますからね。
で「台湾紀行」ですが、こちらは取材に基づくノンフィクションのシリーズです。
台湾の歴史や成り立ち、取材対象の人達の生活や考えなどが、良く言えば様々な視点から描かれ、悪く言えば雑多に羅列されています。
台湾にはよく行くので興味もあり、本省人/外省人という違いや二・二八事件のことなど概念としては知っていました。
が、フォルモサと呼ばれたオランダ統治時代以前からの統治の歴史を辿った上で説明されると、とても分かりやすいです。漢民族の支配が「公」でなく「私」であること、外省人である中華民国の支配から「台湾人」の李登輝総統が誕生した歴史的な意義など、今まで分かっていなかった台湾の成り立ちが良く理解できました。
日本統治時代の話や、少し前に銅像が壊されたことで話題になった八田興一氏のこと、映画「KANO」(まだ観てない!)にもなった嘉義農林学校の選手のその後の話など、現在の日本で再び話題になることも取り上げられています。
なぜ中国共産党が台湾にこだわるのか、なぜ台湾側も大陸と決別できないのか、台湾はそもそも誰のものなのか、色々と考えさせられました。
取材は1993年なので、それ以降現在までの大陸と台湾の関係などを司馬氏が見たら何と書くか想像してみたくなります。
もう絶版なので、興味を持たれた方はamazonさんのマーケットプレイス等で探してみてください。
台湾の問題が「台湾人」が望む形で決着する日がくることを祈ります。
(byぶらっと)
| 固定リンク


コメント