« ル・プチ・モンドのシュトーレン | トップページ | 関東仕立ての長襦袢 »

2017年12月14日 (木)

小説「秒速5センチメートル」

あまりの悲しい結末に、一度観たっきり封印状態になってしまった「秒速5センチメートル」。一度しか観ていないのに(一度しか観られないからこそ)、新海作品の中でも最も深く印象に残っている作品でもあります。
※これ以降の内容には多少のネタバレを含みます。とはいっても、10年も前の作品だから良いですよね。

Cimg4917

先日の新海誠展で、新海監督自らが書いた小説版の存在を知りました。「アニメ版があまりに悲しい終わり方だという声が多かったため、主人公が救われるような書き方をした」との説明もあったので、さっそく読んでみました。

ストーリーの大筋はまったく変わりありません。「君の名は。」のような奇跡的な再会に改編されているなんてことはなく、貴樹くんは相変わらずの寂しい人生を送っています。
が、ラストの踏切のシーンの前に、あの雪の日にお互いが書いた手紙の内容が添えられているんです。そして、過去を引きずるだけに見えた貴樹くんが、未来に向かって一歩を踏み出す心境が明示されています。それによって、あの踏切のシーンの見え方が180度変わってきます。

新海監督が「このお話はバッドエンドのつもりじゃない」と言っていた意味がやっと理解できました。あのすれ違いは貴樹くんが過去を吹っ切るために必要なもので、今さらあそこで再会しようがしまいがどちらでも構わないんですね。
そうはいっても切ないストーリーであることは変わりませんし、観たらやっぱり寂しい気持ちになると思います。でも、もうちょっと気持ちを整理できたら、10年ぶりに封印を解いてみようかな...と思えてきました。

(byぶらっと)

|

« ル・プチ・モンドのシュトーレン | トップページ | 関東仕立ての長襦袢 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 小説「秒速5センチメートル」:

« ル・プチ・モンドのシュトーレン | トップページ | 関東仕立ての長襦袢 »