« ワンダちゃん製作記(9) | トップページ | 治験薬 »

2017年2月 9日 (木)

「屍者の帝国」読了

劇場版アニメをきっかけに購入した文庫本。友人の薦めもあり読み始めたものの、読了まではずいぶんかかりました。そして、読み終わって感想を書き始めてからも、どうにもまとまらず1年以上経ってしまいました。そのくらい「分からない」作品ですが、劇場版「虐殺器官」公開記念でテレビ放映された「屍者の帝国」を見たのを契機に、blogに記録を刻んでおきたいと思います。

亡くなってしまった作家さんの未完の作品の続きを書くことの是非とか、伊藤計劃氏だったら本当にこう書いただろうかとか、いろんな疑問を感じつつ読んだというのも事実ですが、それ以上に円城塔氏の文章は私には合わなかったというのが大きいです。
先入観を抜きにしても、どうも読んでいてワクワクしてこない。(><)

文章について語れる能力などないので“なんとなくな感覚”だけですが、伊藤計劃氏が書いたプロローグ部分は読んでいてワクワクするんですよ。
ストーリーの展開の仕方なのか、取っ付きやすくて分かりやすい(と錯覚させる?)文章なのか、分かったつもりにさせておいて想像もできない展開になるところなのか。虐殺器官とハーモニーしか読んでいないので、何とも言えませんが。
ところが、円城塔氏の執筆部分に入ると、どうにも頭に入ってこない。情景が浮かばない。これはもう、相性なんでしょうね。もう、ストーリーがどうとか、結末がどうとか以前の問題でした。

もちろん、伊藤計劃氏が自分の死を覚悟して、後に託すためにプロットを残したわけではないという抵抗感もあったのでしょう。
「ゼロの使い魔」のように、作者さん自身が残された時間を悟り、後に託すために完結までのプロットを残し、託された作家さんも匿名のまま出版する。そのくらい徹底していたら、また違った受け入れ方ができたのかもしれません。

劇場版アニメを見てしまって、半端に前提知識を得てしまったのも良くなかったのもあるでしょう。が、アニメを見て、原作を読んで、再度アニメを見て、「自分には合わなかった」と結論づけることとなりました。

さて、劇場版の「虐殺器官」が始まっています。ワンフェス準備の隙を突いて見に行くか、ワンフェス明けに見に行くか。いずれにしても、そちらを楽しみにいたしましょう。

(byぶらっと)

|

« ワンダちゃん製作記(9) | トップページ | 治験薬 »

コメント

お久しぶり〜。(* ̄∇ ̄)ノ

確かに円城さんの文体と伊藤さんの文体は違うからねぇ。(笑)
その違和感は判るわぁ。
面白いなぁと思ったのは、僕は逆に感じていて、実は円城さんの文体の方が読みやすかったりする。
『虐殺器官』はまだしも『ハーモニー』は読むのにスゴい時間が掛かった。
( ̄▽ ̄;)

で、そんな『屍者の帝国』読了後に書いた『屍者の計劃』と云う小ネタでお茶を濁しに来ました。(笑)

夭折した作家『彼』が残した30枚余りの絶筆…。
その盟友であり、遺稿の書き継ぎを試みる同業の『私』は、物云わぬ屍者と化した『彼』と『共同』で執筆を開始する…。
実は、その遺稿こそが『屍者再生技術』にまつわる『Vの手記』の秘密について書かれた『もう一つの手記』でもあった…。

執筆にあたり、『彼』と共に『棺詰め(かんづめ)』になった『私』は、やがて自分自身さえも『生者』である確証が揺らぎ始め…。

ポイント
・屍者再生技術を巡る『ヴィクターの手記』
・『ヴィクターの手記』を巡る『ワトソンの手記』
・『ワトソンの手記』で構成された『彼の遺稿(手記)』
・『彼の遺稿(手記)』を元に書き継ぐ『私の手記』
と云う4つの手記が入れ子構造となるメタ・フィクション前提。

用語
・棺詰め(かんづめ):何らかの目的で、屍者と一緒に一箇所に籠る行為。
・屍者誤入(ししゃごにゅう):本来、切り捨てるか、切り上げるべき、屍者への介入を、誤って(もしくは意図的に)行う行為。
・ししゃます:宮城県の方言。大変なことになる、迷惑なことの意。『屍者増す』から転訛。ある領域において屍者の数が許容範囲を超えて増大した場合、生者にとって好ましからざる状況となることを指す…訳ではなく、単に東北の大学出身者である『私』がテキトーに使っている云い回し。

…これは『屍者に鞭打つ行為』、『屍者への冒涜』なのだろうか…。
( ̄▽ ̄;)

追伸
とうとう、病名が確定してねぇ。(笑)
昨日まで治療のための入院してたんだよ。( • ̀ω•́ )✧
まぁ、『マイクロファイバー・ニューロパチー(小径線維神経炎)』とか云う自分でググっても論文の類しか出て来ないようなレアな病気だった。(笑)
でも、これでようやく『手帳申請』の話が具体化して来たよ。

僕はいつだって前向きに生きるのさ!!

と『屍者の帝国』とは逆のベクトルな言葉で締めてみます。

投稿: 百蹉跎亭 佗助 | 2017年2月11日 (土) 10時11分

>佗助さん
ホント、お久しぶり!
コメントもらって、佗助さんの近況を知ろうとmixiを見に行ったら、1年以上ログインしてませんでした。(><)

どんな文章を読みやすいと感じるか、相性って大事ですね。私は円城氏より伊藤氏の方が合っているようです。
そんな中、佗助さんの設定は面白く興味深いです。この設定で円城氏の執筆部分を読めば、もっと楽しめたかもしれません。だからといって、もう一度読み返す気にはなれませんが。(^^;)

さて、病名が確定したとのこと。だからといって病状が変わるわけではありませんが、大変な思いをしている人が公的な支援を受ける道が開けそうというのは一つの救いかと。

ずいぶん前から秋田に戻られているとのこと。仙台も良い所と聞きますが、秋田と聞くと懐かしさが湧いてきます。
転居に入院に大変だと思いますが、本人が前向きなようでホッとしています。
とにかく体を大切に、そして人生を楽しんでください。

機会があれば会いたいですね。
っていうか、新宿にきてたんじゃないですか。次は声かけてよ~。

投稿: ぶらっと | 2017年2月12日 (日) 23時30分

ありがとう!(* ̄∇ ̄)ノ

今も療養しつつ、新屋の町おこしにも参加してるよん。(笑)

こんな感じで。( • ̀ω•́ )✧

気が向いたら、見てみて。(笑)

https://www.youtube.com/playlist?list=PLJSt0eUgXmP5gxspV0HamcF5HkJzBQGjp

投稿: 百蹉跎亭 佗助 | 2017年2月13日 (月) 00時01分

>佗助さん
動画、見ました。
雪国で車椅子は大変そうだけど、周囲の人に恵まれて暮らしやすそうですね。

投稿: ぶらっと | 2017年2月13日 (月) 22時26分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「屍者の帝国」読了:

« ワンダちゃん製作記(9) | トップページ | 治験薬 »