How to make G.K.(6)
「HowTo」カテゴリでキットを作る6回目、「2.仮組 (1)軸打ち」です。
前回までで下準備も一段落。今回はガレージキット作成で最初のお楽しみ、パーツの仮組をしてみましょう。
気泡だらけで無着色とはいえ、完成形に組み上げるとテンションが上がりますよ。
◆補強は必須
ガレージキットは「レジン」という樹脂でできているものがほとんどです。
これはプラモデルと違って、プラスチック用の接着剤では接着できません。基本的に瞬間接着剤(「瞬着」とか「瞬接」と略すこともあります)を使うことになります。
瞬着は引っ張り強度はあっても、捻りや衝撃には弱いもの。どんなにパーツ同士の合いが良いキットでも、瞬着だけでは接着強度に不安があります。接着面が小さい細かいパーツならなおさらです。
完成後にちょっと触れただけでパーツが取れてしまっては悲しいですし、何度も補修すると接着面がボロボロになります。
そこで、通常は「軸打ち」という作業を行います。
ピンバイス(極細のドリル)で穴を開けて、針金等の金属芯でパーツ同士の接着を補強する訳です。
この軸があることで、仮組の際もテープ等で軽く止めるだけで実際には接着しなくても安定して組み立てできるようになります。
◆ピンバイスを用意しよう「ピンバイス」と呼ぶより、一般的には「ドリル」と言った方がイメージし易いかもしれません。ドリルの中でも1mm前後の細いものを特に「ピンバイス(精密ドリル)」と呼ぶようです。
替え刃式のものと固定式のものがありますが、うちでは替え刃式を使っています。
0.3mm~0.8mmまで0.1mm刻みで5本セット(0.7mmだけなし)の刃と、それを固定する軸という構成です。うちではこれに0.8mm~2.5mmまでの5本セットも使っています。
ニッパーやデザインナイフに比べると、少しだけ高価になります。とりあえず試してみるなら、100均にある精密ドライバーのような固定式(0.5mmと0.8mmの2本セットで105円とか)のものが安上がりです。
ピンバイスの本体を買うときは、対応するドリル刃の太さに注意してください。安いものは0.1mm~1mmなど、使用できるドリル刃の範囲が狭い可能性があります。
◆穴の大きさは?
接合面の面積、支えるパーツの大きさ、重さなどに応じて軸の太さを決めます。
通常のパーツなら、0.6~0.8mmくらいの穴を開け、それより0.1mmくらい細い軸を入れます。
あまりに細かいパーツは0.3~0.4mmにしたり、大きくて重いパーツを支える時は1mm以上にするなど、キットに応じて調整が必要です。
ちなみに「すばる」をベースから浮かすための軸や「初音ミク」の足をベースに固定する軸は2mmの穴に2mmのアルミパイプを使っています。そして、ミクさんのツインテールは3mmの穴に3mmのプラ棒を通しています。
◆軸の材料今回は穴の位置決めに軸を使う方法をとりますので、先に材料の説明をしちゃいましょう。
一般的には模型店で売っている真鍮線を使います。太さもいろいろ揃っていますし、強度も確かなので間違いないです。短所はお金が掛かることくらい。(^^;)
針金状のものだったら何でも使えますので、代用品はいろいろあります。細い物なら雑誌や小冊子を閉じているホチキスの針、太めの物ならゼム・クリップを延ばしたもの等がお手軽です。
強度が必要ない場合は、うちでは100均のアルミ線なんかを使ったりもします。
キットを作るだけならあまり気にしなくて大丈夫ですが、ファンド等で自作パーツを作って追加しようという場合は錆び易い材質は避けてください。
◆穴を開けてみよう
私が一番多用する穴位置の決め方が、片側に穴を開けて短めの軸を挿し、パーツを合わせることで反対側に軸で印を付ける方法です。現物合わせなので割と確実です。今回はこのやり方で進めます。それでは、さっそく1カ所やってみましょう。ここでは渚の首でやってみます。
まずは接合面の片側にピンバイスで穴を開けます。太さはパーツに見合ったものということで0.8mmを使います。(後で気泡埋めの事例に使うため、敢えて気泡の入った失敗パーツを使っています。今の段階では気泡は気にしないでください。)
深さは、支えるパーツの大きさや重さ次第。このくらいの小さいパーツなら3~5mm程度で十分です。
大事なのは勢い余って貫通しないこと。貫通しちゃったら、後続作業の気泡埋めと一緒にリカバリーすることになります。
穴の向きですが、反対側にも同じ向きに開けやすいのはパーツ面に垂直にすることです。
パーツによっては垂直方向に奥行きがない場合もありますが、その様なケースの事例は次回に。
◆対向側の穴位置を決める
先ほどの軸穴に、長いままの真鍮線を挿します。で、パーツから1mmくらいの所で切断します。そのままパーツを押しつけると反対側に軸の跡が付くので、ここに軸穴を開けます。先ほどの短い軸を抜いて、もう少し長めの軸を挿せば軸打ち完了。
(注:軸を切断するニッパーは、できれば専用のものを用意した方が良いです。1mm程度の真鍮線ならプラ用ニッパーでも切れますが、刃が劣化する可能性があるので。うちでは気にせず使ってますが。\(^o^)/)
ここで、位置決め用の軸の長さについて、いくつか注意点を。
1.短すぎると印が付かない
2.穴の深さ+0.5mmくらいだと、印を付けるために押しつけたことで軸が抜けなくなる
3.長すぎるとパーツの合いが遠すぎて印の位置がずれる
2が最悪です。軸の周りの穴を広げて取り出さなければならなくなるので面倒です。
軸打ちの基本は以上のとおりです。
次回はその他の軸打ちの方法を紹介します。
(byぶらっと)
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