『フェルメール展』(2)
三十数点しか現存しないと言われるフェルメール絵画。そのうちの7点が集まっているのですから、コレは見ないと損!(笑)彼の絵はどれも“なぜ?”と疑問を抱きつつ惹きつけられて止まない不思議な絵です。
『マルタとマリアの家のキリスト』
唯一の宗教画です。有名な『真珠の耳飾の少女』や『牛乳を注ぐ女』とは色彩もタッチも随分違っています。わたし的にはイタリア絵画っぽい印象を受けました。マルタの頭から右腕に注ぐ光の感じやマリアの服はスケドーニを思わせるし。しかしマルタのもの言いたげな表情などには“らしさ”も感じます。
『ディアナとニンフたち』
こちらは唯一の神話画です。裸婦で描かれることの多い神話画ですが、これはきっちり衣服を着ているのが珍しい。半裸なのは一人背を向けてる女性の背中だけですよ。この絵では神話のどの場面なのか特定できないのだそうです。なにを想ってこの瞬間を描いたのか?いろいろ想像したいところですが、女神をはじめニンフたちの顔もはっきり見えない。みんな楽しくなさそうだなぁ・・・と思うのは私だけ?(笑)
『小路』 フェルメールの風景画はこれと『デルフトの眺望』の2点だけ。あまり風景画に興味のない私が、この絵にはどうしてか魅せられてしまう・・・不思議。どこの家を描いたのか?いくつかの説があるそうですが、私としてはそれは大して意味がない。精々“聖地”がひとつ増えるかどうかくらい。(^^; 精密に描かれていながら穏やかで優しさを与える絵だと思います。
『ワイングラスを持つ娘』 いやらしそうな男とこちらに視線を送る品のない笑いをする女。絵としては好きじゃないんだけど、後ろで肘をついている男性が気になって仕方ない。(笑)光の表現が巧みで布や陶器やレモンの質感が素晴らしいと思うんですけど、その割りに左手の描き方が???。「そこどうしちゃったの?」と疑問に思う箇所があるのもフェルメールらしさですか。ちなみに絵は全体的に薄いグレーの霧に覆われてるような感じで、チラシや図録にあるようなはっきりした絵ではないですね。ステンドグラス(節度を擬人化した寓意)のデザインもよく見て取れません。それゆえ本物を見て感じる印象はかなり違うので是非ナマで見て欲しいところです。
『リュートを調弦する女』 一連の動作がふと途切れた瞬間を切り取ったような感じ。その情景を想像する楽しさが・・・出てこないのはこの女性の表情の所為?不美人とは言いませんが、なんでそんなにデコが広くて眉毛が無くて目がギョロッとしているの?可愛くねー。せめて眉毛を・・・。orz フェルメールは女性を多く描いているけど、実は美人と言える人は少ない。つまりそういう目で見ちゃいけない、主題は別にあるってことなんでしょうが、せめてもう少し感情移入しやすいところに落着いても良かったのでは。(^^;
『ヴァージナルの前に座る若い女』
2004年に真作とされた小品。その鑑定や同時期の作品(『レースを編む女)』との比較に関心が向きますが、小粒ながら優しい光と穏やかさを感じる絵です。真作と認められましたが、黄色のストールのあたりは別の画家の加筆とも考えられています。展覧会では小粒な所為かこの絵の前は比較的空いていましたね。ラストに飾られちゃったからかな。
『手紙を書く婦人と召使い』 予定していた『絵画芸術』が作品保護の為展示できなくなったので、急遽特別出展となったんでしょうか。『絵画芸術』はウィーンで見ているので私としてはラッキーでしたが。完成度が高く見応えのある作品です。光や空気感の表現も見事ですが、少し下からの視点で描かれていて人物の存在感や表情をよく見る事が出来ます。この落着いた絵をみちゃうとさっきの『リュート~』が無性に見たくなる。あばたもエクボってヤツか。(笑)
(byふらっと)
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