蟹工船
今から80年も前、昭和4年に刊行されたプロレタリア文学の代表作です。
昨今の格差社会、ワーキングプアの問題もあり、フリーターの人たちを中心に当時の労働者への連帯感から異例の売り上げになっているとか。高校の頃の文学史で必ず取り上げられるのでどういう話かくらいは知っていましたが、特に興味を持つこともなく読んだことがなかったので、話題になっていることもあって今更ながら読んでみました。
一緒に収録されていた「党生活者」も合わせて読んだ感想としては「隠語も多いし、その当時の労働者へ訴えかける文章のためか、読みやすいものではない」というのが率直なところ。非常に厳しい労働条件や文体から感じる雰囲気など、2ちゃんねるのまとめブログで読んだ「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」という話を思い出してしまいました。(^^;)
もちろん言論の自由が保障されている現代と違い、共産主義や組合活動の弾圧という当時の時代背景を考えると本に著しただけでも大変なこと。(実際にこの本の発表後、共産党活動もしていた著者は特高警察に逮捕・拷問されて命を落としています。)
そのまま同列に扱って良いものではありませんが、現代の若者が蟹工船に共感を覚えるというのも分からないでもないですね。
ただ、その時代に命を賭けて労働者のための活動をした方、団結した労働者といった先人達に比べて、現代の若者は「蟹工船」に自分たちの境遇を重ねることはあっても、今の日本の政治に対して何らかの働きかけをするかというと非常に疑問。「いつの時代もこんなものなんだね」と諦めて終わってしまいそう。
ところで、ちょうど一昨日のNHK「クローズアップ現代」で「ランキング依存が止まらない~出版不況の裏側~」と題して、最近の多くの人が売り上げランキングを基にしか本を買わないため“売れてる本しか売れない”という問題を取り上げていました。そういう意味では「話題になっているから読んでみよう」と蟹工船を手に取るというのも、出版業界にとってはあまり良い買い方ではなかったようです。(^^;)
そういえば独身時代は毎週のように本屋に行っては、店内をブラブラしながら目に付いた本を読んでみるという買い方をしていたけど、最近はめっきりだと思ったり。とりあえずラノベばかりでなく、遠子先輩のお薦め本でも順番に読んでみようか。
(byぶらっと)
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コメント
今夜は早く寝ようと思ったのに、リンク先を一気に読んでしまいました…
泣いたーーーーー
投稿: こじゃる | 2008年6月 6日 (金) 23時32分
あのブログは泣ける記事など選択が良いので、“ヒマな時”に眺めるにはよいですよ。まぁ、すべてが事実ではないでしょうし、ハズレも多いですけど。(^^;)
週末はゆっくり休んでくださいね。
投稿: ぶらっと | 2008年6月 7日 (土) 23時27分