本当に「お客様第一」でスバルの車は良くなるのか?
今日はね、もぉ熱く語らせてもらいますよぉ。多少長くなりますが、SUBARU BLOGにもトラックバックを送らせてもらいます。富士重工業の方にも事情や言い分があるでしょうが、あくまでも1ユーザーの想いの発露ってことでご容赦のほどを。
新型インプレッサの開発で心がけたこととして、先日のSUBARU BLOGに以下のような竹内プロジェクトゼネラルマネージャーの言葉が紹介されています。(ちょっと長いですが引用させていただきます。)
ブログ読者の方には、もしかすると期待はずれな答えかも知れないけど、「お客様第一」「お客様にとっての価値を上げること」をブレずに実践することですね。だから「技術者としてここを新しくしたい」ではなくて「お客様のこういう声に応える為にこれを新しくしたい。」という提案をしてくれって言い続けたんです。技術者ってどうしても自分の思いで新しいものを作りたくなっちゃうんです。そういう思いやチャレンジ精神も大事だから、つらいなって思うこともあるんだけどね。SUBARUはその点がちょっと強すぎるかなって思うから、あえて「技術屋としてじゃなくて、お客様の目線で判断しようぜ」と繰り返しました。
うんうん、わかります。「技術的にすばらしい車を作っても購買層が理解できない」とか、「時代の先を行き過ぎてユーザーがついて来られない」というのが今までのスバル車でしたから。
でもね、だからこそ本日のタイトルの疑問です。
本当に「お客様第一」でスバルの車は良くなるのでしょうか? 言い換えれば、今の富士重工業が目指している「お客様第一」って、スバルとして目指すべき正しい方向なのでしょうか?
「車は本来どうあるべきか」なんてことを理解せず、見栄えや値段、目先の便利さだけで車を選ぶ一般ユーザーに対して、常に「車のあるべき姿」を提案してきたのが従来のスバルの車作りだったと思います。マイカーが高嶺の花だった時代に家族がしっかり乗れる国民車を創り出し、他社が排気量競争を繰り広げる中ではFFパッケージによる広々した室内空間を提供し、ff1ではいち早く「止まることの重要性」に取り組み、馬力競争の渦中では4輪で駆動力をしっかり伝えることに拘り、世間がスポーツカーに浮かれるのを尻目にワゴンというユーティリティーを確立し、中には10年以上ブームを先取り(^^;)した“ドミンゴ”なんて名車もありました。そして、そんな技術屋さんのまじめな姿勢がユーザーの共感を呼び、“スバリスト”と呼ばれるメーカーのファンの出現に繋がったのだと思います。
ところが近頃のスバルときたら、「どうしちゃったの?」というようなことばかり。
インプレッサでは最下位グレードを除いてみんな窓ガラスが黒くなっちゃいました。他の車種でも特別仕様車や1つでもメーカーオプションを付けたいと思うと、もれなく濃色ガラスを強制されます。営業さんに理由を聞くと「濃色ガラスを好むお客さんが多いから」とか。トノカバーがなくても荷室内が見えないから、防犯の点でも良いよね...って違うでしょ! オプションにすべきはトノカバーじゃなくて、濃色ガラスの方にしろと言いたい。せめて濃色ガラスのレスオプションは選択させてくれと。
フォグランプやリアフォグランプについてはかろうじて先日のSUBARU BLOGで注意喚起していましたが、それ以前に「特別仕様車などではリアフォグまで標準装備にするのはどうなの?」ってことです。いったいどれだけのユーザーが霧に巻かれて数メートル先が見えないような状況に出くわすやら。雪国や山間部に住んでいる方ならともかく、都市部に住んでいればその車に乗っている数年間に1~2回あるかないかという方も多いのでは。逆に街中で煌々とリアフォグを点灯して事故を誘発する馬鹿者が出てくるわけです。そりゃぁ付いていれば点けてみたくなるのが人情ってものですよ。こういう装備はユーザーが自分の用途に応じて選択して付けられるようにすべきではないでしょうか。
その逆に、後席センターのヘッドレストや3点式シートベルトがサイドエアバッグとセットオプションっていうに至っては呆れる限り。安全装備こそ、メーカーが必要だと考えるなら全車に標準装備すべきですし、それを率先してやってきたのがスバルだったはずです。百歩譲って「普段の乗車人数や用途に合わせて選択できるように」とおっしゃるなら、「付けるならセットで」というのは明らかにおかしいですよね。「4人しか乗らないけどサイドエアバッグは欲しい」という人はどうすれば良いのでしょう?
もうね、「お客様第一」が行き過ぎて、多少違うと感じつつも「何もかもお客様の仰せのまま」になってしまっているのでは?としか思えません。
ユーザーの物欲に訴えやすいところにお金を掛け、ユーザーが気に留めないところでコストダウンをすれば、売れるようにはなるでしょう。しかし、それは伝統的な富士重工業の車作りの良心に反していませんか?
私が濃色ガラスを嫌うのは、ルームミラーに映る景色がきれいに見えないからだけではありません。運転する上で前の車のガラス越しに、さらにその前の車の挙動などを把握する妨げになるからです。前の車が濃色ガラスだとその前の状況が分からず運転しづらいですし、自分の車が濃色ガラスだと前の車の急ブレーキに従ってブレーキをかけたときに追突される危険が高まります。「法令に準じた透過率はある」とは言っても、素ガラスより視認性が落ちるのは明か。「売るためなら何でもあり」なんて、少なくとも私が惚れ込んだスバルのやることではありません。
価格を下げるためにはオプションもある程度セットにせざるを得ないとか、生産体制にも限りがあるのでそれほど多様なパッケージオプションは準備できないという台所事情もあるのでしょう。
営利企業であるからには、「良い車」以上に「売れる車」を目指すのも分からないではありません。「良い車」でも売れなければ経営を継続できないですから。いや、営利企業にとっては「売れる車」が「良い車」なのでしょう。しかし、スバルはそういう考え方をしない数少ないメーカーだったからこそ、車種やグレードを超えた“スバリスト”というメーカーのファンが育ったのではないでしょうか。そういう意味でも、「お客様の目線より技術屋としての判断を優先させる」ことも時には必要かと思います。
顧客満足とか顧客ロイヤリティなんてことが言われて久しいですが、安くて便利でたくさん売れる車が「顧客満足」であるなら、車作りを文化にまで高めたことで生まれた“スバリスト”を自称する人々が正に「顧客ロイヤリティ」なのではないでしょうか。
ちょっと古い記事ですが、「満足しているだけの顧客はいずれ去っていくもの」らしいですよ。コアなスバリストを切り捨てて販売を拡大した先に見えてくるものも、真剣に考えて欲しいと思います。
さて、そろそろマジで買い換えを考えなければならない我が家のBF(初代レガシィワゴン)ですが、今のスバル車には「欲しい車」どころか「多少の我慢をしても乗っても良い」と思えるものがありません。車種・グレード・オプションの組み合わせで考えると、どうしても選択肢がない状態。魅力を感じるのはミニとかマツダ・ロードスターとか、みんな他社の車。このままだと私のスバリスト生命はBFと心中することになりそうです。
そんな気も知らずに「すぐにでも買い換えましょう!」とニコニコしている東京スバルの営業さん。AB(2代目レオーネ)以来20年以上スバル一筋であるこの私に、今すぐスバリストを辞めろとおっしゃいますか?(^^;)
あ、そうそう。「14年も車を買い換えないおまえなんか、コストばかりかかって利益が上がらない“ゼロ以下顧客”じゃないか!」という意見は受け付けません。この14年間で、営業さんを紹介して購入に至った知人2名、私の影響もあって他社からスバルに乗り換えた知人1名、諸般の事情で購入には至らなかったもののスバルに興味を持って検討してくれた知人2名と、第三者への紹介など「愛着の証」は十分示しているはずですから。
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(byぶらっと)
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